『花火アートイリュージョンin福智町総合プロデューサーお二人に聞く』

~進化を止めないエンターテイメントが世の中を元気にする~

『花火アートイリュージョンin福智町
総合プロデューサーお二人に聞く』

~進化を止めないエンターテイメントが
世の中を元気にする~

今、自分たちに何ができるか?を追い求めて。
世の中に希望を渡すために挑戦をし続ける2人の経営者が生み出した「花火アートイリュージョンin福智町」。
このステージに込められた想いとは。ふたりが描くこれからのエンターテイメントとは。
進化し続ける2人にお話をうかがった。
▶原田さん、脇野さんそれぞれが社長に就任し10年以上が経った今、
「花火アートイリュージョンin福智町」の開催に至ったきっかけは何ですか?
脇野:昨年、10年ぶりくらいに原田さんから電話があって「花火屋さんを探している人がいるから紹介していい?」と、それだけの要件だったのですが。

原田:そこで垣間見えた脇野氏の仕事の仕方の実直さが昔と全然変わってなくて、嬉しくて。「ゆっくり話そう!」と誘いました。

脇野:10年会っていない中、近年のコロナ禍もあって「ステージが無くなったよね」という話をしましたね。お互い経営者として、社員を育てる立場だけど、その社員たちが活躍できるステージがどんどん無くなっていく。

原田:才能を持っている社員が育ち続けているのに、コロナ禍の影響でその才能を宝の持ち腐れにしたくない、ステージを創るのは我々の仕事だよねって。「だったら一緒にやりません?」って、脇野氏が言ってくれました。
▶これからの世代にステージを創ってあげたい、という経営者ふたりの思いが「きっかけ」となったのですね。そして開催へと。その目的を教えてください。
原田:飾り文句無しで話しますね。「コロナ禍で失われつつある感動機会の創造」です。このコロナ禍で、自分の両親とさえ食事に行けない、親と孫が会うこともできない。今まで当たり前だったことが、当たり前じゃなくなった2年間を過ごさせてしまった。だから何か自分が関わるプロジェクトで、親と子どもを楽しませたい、想い出の場をつくってあげたい、その思いが強いですね。お爺ちゃんと孫とか三世代のグループで、一緒に感動し、笑い合い、想い出を共有できるようなシーンを提供すること。それが長年エンターテイメントの世界で生かしてもらっている自分ができることであり、使命かなと。

脇野:花火って、老若男女、一緒に喜んでもらえるツールですよね。そして上を向く。空を仰ぐと心が晴れやかに前向きになるんですよね。実は、コロナ禍でイベントが中止になり迷走していた時期に、社員2人が「沈んでいる世の中を明るくするために花火を上げたい」と言ってきました。子供達に、世の中に希望を、と。

日本の花火には、慰霊や、悪霊退散の意味があります。我が社の社員、花火の本質を忘れていなかった。世間に主旨を説明し花火を上げたところ、NHKの取材があり、そこから全国にコロナ禍の「絆花火」打ち上げが拡散していきました。これをきっかけに「人」「企業」「地方自治体」との繋がりを広め「絆」を創生していこうと。人が繋がれば、「モノ」と「コト」が育ち「宝」となる。それが「地域創生」の根本であると考えています。開催をきっかけにこの花火大会が「ふくつの人々の花火大会」となること、「ふくつの誇り」となってくれることを思い描いています。
▶現在はそれぞれ経営者としてのふたりですが、出会いはいつですか?
原田:私が当時勤めていたスペースワールドのエンターテイメント課に、当時、脇野煙火商会(現ワキノアートファクトリー)の社員だった脇野氏が出向してきたときが最初ですね。

脇野:1997年、今から25年前。私は原田氏と同じチームで様々なプロジェクトに携わらせてもらったけれど、当時はプロデューサーとスタッフなので、接点が少なく、そんなに近い関係ではなかったですね。

原田:その後セカンドミートは、私がスペースワールドを退職後に入社した新会社の専務取締役が、脇野氏。上司と部下、立場逆転です(笑)。

脇野:原田氏は、どんどん新しい発想を生み出し、「こんなことやりたい!」って言っていましたね。とにかく内容が斬新で。「どうやってやる?」「予算大丈夫?」何度も、そんなやりとりをして。

原田:結局、一緒に新しいことをたくさん生み出したよね。イベント会社の中でブライダル事業部を作ったので、結婚式場にガーデン花火やレーザー演出を売り込みに行ったり、当時は全国的にも前例がなかった映像演出、今でいう当日エンドロールを商品化したり。
▶数々のヒット作品を生み出した訳ですね。ブライダルとイベントの両立は大変ではなかったですか?
原田:ハウスウェディングの人気が爆発しブライダル黄金期の到来。その時代にも恵まれて、ラッキーでしたね。花火・映像・バルーンという3大アイテムで商品開発をし、ブライダル事業は毎日寝る時間がない状態。でもブライダルが閑散期になる夏や冬には花火ショーなどイベントでスケジュールはびっしり。で、結果、1年中休む暇がなかった。おかげで経験値を高めることができたから、今があります。

脇野:ハウステンボスの世界花火イベントも一緒に立ち上げましたよね。私がヨーロッパ視察で、世界の花火屋さんが集まるシンポジウムを見て感動して。すぐに日本に戻り「これをハウステンボスでやりたい!」と。それには原田氏の力なくして実現は有り得ない、そう確信していました。
▶今もハウステンボスで開催されている「世界花火師競技会」の前身ですね。
脇野:当時、世界中からハウステンボスに花火師を呼ぶことはできなかったけど、「音楽で世界感を表現」して、日本とオランダの花火師のコラボレーションで開催したのが、最初でした。
▶その頃、お互いどんな存在でした?
脇野:「この人は絶対独立して自分でやった方が新しいコトとモノを創る事ができる」と思っていました。デザイン、考え方、動き、全てが尖っていて、枠にとらわれない原田さんと仕事をして、原田氏との仕事は刺激的だなと。

原田:当時、脇野氏は上司だったけど、脇野氏にだけは、馬鹿正直に本音で話せた。建前抜きで話しをしてくれる人なので。もともと独立願望はあったし、それも素直に伝えて、それを応援してくれたのは、心強かったですね。
▶今回の「花火アートイリュージョンin福智町」。大掛かりな準備、費用的にもかなりリスクがあります。それでもなお、このプロジェクトを開催しようと思えるほどの目的は何ですか?
原田:正直、花火だけでも十分に楽しんでもらえるし、弊社が入ることで、レーザーや映像など、特殊効果の演出予算が必要となる。ワキノアートファクトリーだけで開催した方が、リスクも少ないのでは?という話もしました。

脇野:私はゲームチェンジャーでいたい。花火の発数や規模で、これまで通りの花火屋の戦い方をするのではなく、「進化した花火大会」で更なる感動の機会を創りたいと思っていました。企業理念にもある「新たな感動と新しい価値の創造」を貫くには、原田さんが持っているデジタルの力が必要不可欠です。弊社の花火とデジタルのコラボレーション、世の中を明るくすることができたら!そう思いました。その背景には、目標のひとつである、地域の人々の「絆」を構築していき「創生」することがあります。。

原田:花火とデジタルツールって、言い換えれば「リアルとバーチャル」。「音楽」という軸の上で、このリアルとバーチャルを上手く融合させることができたら、絶対に「唯一無二」の世界を創ることができる。人々を感動の世界へと導くことが出来る、先にお話しましたが、「家族の忘れられない想い出の場になる」、その絵面が描けたので。
▶2人の経営者の強い思いがあって、開催が決まったこのイベントですが、これまでは主催側から依頼を受けて「中身」を作ってきたおふたりですよね。今回は「自主興行」中身以外のことも全て行うのは、大変なことも沢山あるのではないでしょうか?
原田:想像を超えた大変さです。 費用のことは当然ながら、お客様が少しでも来場しやすいように、シャトルバスの運営や、駐車場の確保など、広報活動も然り、走り回る日々です。

脇野:元来、花火屋はB to Bビジネスで依頼に伴い実施するスタイル。今回のイベントでのゼロからの構築は、初チャレンジです。自分達で現場を作って、チケットを販売して、協力企業や自治体との話しをまとめて。目まぐるしい日々を送りながら、主催側の大変さを痛感しています。

原田:でも、50歳半ばにもなって、新しい経験と知識を得られていることに、まだまだ進化できるんだ!と思えたのは、嬉しい誤算でもありますね。

脇野:本当に。初めての挑戦ばかりなので、気づくことができず、不行き届きな部分もあると思います。でも、意見は沢山いただきたい!必ず、どんどん進化させていきますので、気づきや感想、ご意見、ぜひお願いしたいです。
▶さらに今回のイベントは、お2人が演出をするのではなく、「演出をそれぞれの会社の部下に任せる」ということも、大きなチャレンジですよね。これは先の「社員のためのステージづくり」の一環ですか?
原田:私達の会社はブライダルの演出事業を核としているので、有難いことに毎週ステージがあり、多種多様なご要望をカタチにする為の成長の機会があります。今回、このイベントのプロデュースを任せた社員の山内は、もう10年以上弊社に在籍しているベテラン。そろそろ次のステージを渡したいと考えていました。このステージで得たものを、ブライダルや今後携わるエンターテイメントにフィードバックさせていく。そして新たなエンターテイメントの感動の場を構築していく。そうやって彼らのスキルを好循環させていきたいですね。

脇野:原田氏の会社からは山内くん、弊社からは平賀。この二人、それぞれ現場経験は長いけど、もちろんこんな大きなステージを任されることは初めてで。そしてこの二人のコラボも初。プレッシャーでしょうね(笑)。私が原田氏と20年前、様々なプロジェクトに携わった日々とリンクします。苦労続きの中に心が震えるほどの感動。私がそうであったように、若手2人も体験してほしい。「挑戦の場」ですね。
▶経営者として、そのおふたりに何を求めますか?
原田:山内に求めることそれは、任された以上は「自分」と「お客様」その両方の期待を超えるものを作ってほしいですね。
そして、自分の価値を創造して、これからはその価値に見合った「自分のスキル売り方」を習得してほしいです。

脇野:平賀に関しては、花火以外にも色々勉強をしている、感性も鋭い。花火以外のバーチャルの世界をもっと経験してほしいと思っていました。世界感を広げ、固定概念を捨てて、好きなように、思いきりやってほしいですね。

原田:2人とも、それなりに自信はあると思うけど、自信は測れない。でも今回はそれを測る貴重な機会。 今回やったことが、2回目のチケットの売れ行きに反映される。観に来たお客様が全てを決める。自分達の仕事に正当な評価が得られるいい機会ですね。
▶「花火アートイリュージョンin福智町」は第1弾。今後の展望をお聞かせください。
原田:今回の花火アートイリュージョンをベースにした一般社団法人文化芸術創造推進協議会を脇野氏と共に立ち上げます。全国の様々な分野のクリエイターと組んで、エンターテイメントの切り口で全国の様々な場所で、地方創生のカンフル剤的な「コト」を創っていきますね。

脇野:イベント関係の一般社団法人はまだ少ないので、プラットフォームを作ります。芸術や音楽など、様々なクリエイションからの「人材の発掘」や「若手の育成」ということも、そろそろ私たちの世代が考えて構築していかなくてはなりません。

原田:大の大人が「必死に」「一生懸命に」何かをやる姿を見せ続けたいです。「本気で何かをやる」ってことがいかに格好いいかを感じて欲しい。

脇野:子供達が「夢」「希望」を感じられる世の中にしていきたいですね。

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